たまごの構造
たまごの構造は、卵殻と卵殻膜、卵白、卵黄からなり、その割合は約1:6:3となっている。(右図参照)
たまごを割ったとき、黄身に白いひも状のものが付いているのが確認できる。これは「カラザ」と呼ばれるもので、卵黄をハンモックのようにたまごの真ん中に吊り下げる役目をしている。卵黄の一番外側の薄い膜を「カラザ層」といい、これがハンモックの網の部分になる。
ひも状の「カラザ」は、ハンモックのひもの部分になる訳で、鋭端部(たまごの尖った方)は、カラザは2本が左巻きにねじれて糸状になり、鈍端部(たまごの丸い方)では1本が右巻きにねじれている。
「カラザ」の成分は、タンパク質である。
「卵黄」は、単一の同質な球状ではなく、濃色卵黄と淡色卵黄が交互に同心円状(同心球状)になった複数の層からできている。
「卵殻」(カラ)の内側には卵殻膜(うす皮)がある。卵殻膜は、「外卵殻膜」と「内卵殻膜」の2層から成っている。
濃厚卵白が卵殻膜に直接、触れている部分を「卵白結合部」と呼んでいる。
胚の入っている部分を「パンデル核」といい、ここから「ラテブラ」に至るまでの部分を「ラテブラの首」と呼んでいる。ラテブラは「白色卵黄」のことであり、卵黄のほぼ中央にある。白色卵黄に対して、通常の卵黄は「黄色卵黄」という。
たまごの構造の各部の詳細
たまご(鶏卵)は、大きく分けて4つの部分からできている。各部分を外側からいうと、1)卵殻、2)卵殻膜、3)卵白、4)卵黄という順になる。 各部分についての詳細を以下に示す。
1)卵殻(卵殻)
卵殻は、厚さ0.26〜0.38mm前後の多孔質のもので、産卵直後のものは表面が輸卵管より分泌された粘液で覆われているが、これが産卵直後、数分で乾燥して付着し、卵殻クチクラ(薄膜)となる。この「クチクラ」のため、新鮮な卵の殻の表面はザラザラしている。「クチクラ」は、微生物が卵殻を通って侵入するのを防ぐ役目をしている。
卵殻は、ほとんど水分を含んでいない。その成分は、卵によって若干異なるが、大部分は「炭酸カルシウム」で、他に炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、その他微量の有機物、微量の水分が含まれている。卵殻には、「気孔」と呼ばれる多数の小孔(7,000〜17,000個)があり、この気孔が胚の呼吸に必要な酸素を取り入れ、内部で発生した「炭酸ガス」を排泄するガス交換を行っている。
2)卵殻膜(らんかくまく)
卵殻膜は、強い繊維質の物質である。卵殻膜の主成分はタンパク質であり、「外卵殻膜」と「内卵殻膜」の2層から成っており、ともに卵殻に密着しているが、鈍端(どんたん:卵のまるい方の先)においては、離れて空間をつくっている。この部分を「気室」と呼んでいる。「気室」は、産卵直後ではほとんど見られないが、時間の経過とともに気室は大きくなる。
3)卵白(らんぱく)
卵白は、粘度の低い「水様卵白」と粘度の高い「濃厚卵白」よりできており、水様卵白は、さらに「内水様卵白」と「外水様卵白」の2層に区分される。濃厚卵白は、一部、卵の尖端(せんたん:卵のとがった方の先)で直接、卵殻膜に接しているが、大部分はこれら2層の水様卵白の間に存在する。卵白は、以上の3層の卵白と「カラザ」よりできているが、その構成割合は、外水様卵白25%、濃厚卵白50〜60%、内水様卵白とカラザが15〜25%である。しかし、この割合は、日数の経過に伴って変化する。
卵白の固形物含有量は約12%位で、その大部分はタンパク質である。卵白の中に卵黄の表面から卵の尖端および鈍端に向かって、白い糸のようなものが出ているが、これが「カラザ」である。カラザは、卵白の一部とされ、卵黄を卵の中心に固定する役目をしている。
4)卵黄(らんおう)
卵黄は、表面を薄い「卵黄膜」に覆われ、その上半球表面の中心に直径2〜3mm位の白い斑点がある。これが有精卵では「胚盤」(はいばん)で、無精卵では卵子の「卵核」(らんかく)のあったところである。
胚盤の下から卵黄の中心に向かって、細長く白色に近いように見える部分がある。これが「ラテブラ」と呼ばれているものである。
卵黄は、「黄色卵黄部」と「白色卵黄部」が交互に同心円状の層をなしており、ラテブラは白色卵黄部に属する。
5)各部分の重量比
鶏卵の各部分の重量比は、卵殻 8〜11%、卵白 56〜59%、卵黄30〜33%であるが、この割合は、鶏の月令(生まれてからの月数)、卵重(卵の重さ)、季節、鶏種(鶏の種類)等、色々な要因によって差異がでる。
一般に、卵重の小さい卵は卵殻の比率が大きく、卵白、卵黄等の内容物の比率が小さい。また、卵黄の比率が大きいのは、58〜70g位のLおよびMサイズの卵重のもので、それ以上大きくても、小さくても卵黄の比率は小さくなる。特に46g未満のSSサイズのものは小さい。